血液外来診療マニュアル
クリニックの先生向け
~定期受診の診察ポイントと相談のタイミングについて~
A. 各血液疾患に対する治療、方針
1. 悪性リンパ腫(治療後寛解のfollowのポイント)
全身状態が安定した新規症例の場合には、生検できる所(近隣外科・耳鼻科・皮膚科)に先ず御紹介いただくと、血液内科的には有り難いです。
(1) . びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)
- <定期評価項目> ※異常があれば血液内科へ相談ください
-
- 37.5度以上の発熱
- 寝具を取り替えるくらいの寝汗
- 6ヶ月で10%以上の体重減少
- 表在リンパ節の増大
(※ただの風邪の可能性もあります。数日で判断せず、感染症の除外を優先すべきです。感染症の除外を一般の患者と同じように行い、インフルエンザ・COVID-19・細菌感染症の除外から行います。通常の対応でも発熱が継続する場合に御相談ください。) - 血液検査(CBC異常、白血球分画異常、LDH上昇、可溶性IL2Rの経時的上昇)
- 腹部エコーによる評価で、腹腔内リンパ節腫大・肝脾腫・腹水・胸水
- sIL-2Rは月に1~2回の計測で充分です。
- <紹介方法>
-
- 月単位で増悪する症例は待てる事が多い。精査依頼で紹介する場合は地域連携室を通して血液内科外来を予約する。
- 週単位で増悪または全身状態が悪い場合、紹介元のER外来か直接血液内科へ連絡。
(2) . 濾胞性リンパ腫
- <定期評価項目> ※異常があれば血液内科へ相談ください
-
- 37.5度以上の発熱
- 寝具を取り替えるくらいの寝汗
- 6ヶ月で10%以上の体重減少
- 表在リンパ節の増大
(※ただの風邪の可能性もあります。数日で判断せず、感染症の除外を優先すべきです。感染症の除外を一般の患者と同じように行い、インフルエンザ・COVID-19・細菌感染症の除外から行います。通常の対応でも発熱が継続する場合に御相談ください。) - 血液検査(CBC異常、白血球分画異常、LDH上昇、可溶性IL2Rの経時的上昇)
- 画像検査はエコーで充分、もしくはCT検査だけ近くの総合病院へ依頼(1回/年)
- <紹介方法>
-
- 年単位で増悪するため、通常待てる。精査依頼で紹介する場合は地域連携室を通して血液内科外来を予約する。
(3) . ホジキンリンパ腫
- <定期評価項目> ※異常があれば血液内科へ相談ください
-
- 37.5度以上の発熱
- 寝具を取り替えるくらいの寝汗
- 6ヶ月で10%以上の体重減少
- 表在リンパ節の増大
(※ただの風邪の可能性もあります。数日で判断せず、感染症の除外を優先すべきです。感染症の除外を一般の患者と同じように行い、インフルエンザ・COVID-19・細菌感染症の除外から行います。通常の対応でも発熱が継続する場合に御相談ください。) - 血液検査(CBC異常、白血球分画異常、LDH上昇、可溶性IL2Rの経時的上昇)
- 画像検査はエコーで充分、もしくはCT検査だけ近くの総合病院へ依頼(1回/年)
- <紹介方法>
-
- 月単位で増悪するため、通常待てる。精査依頼で紹介する場合は地域連携室を通して血液内科外来を予約する。
(4) . T細胞リンパ腫
- <定期評価項目> ※異常があれば血液内科へ相談ください
-
- 37.5度以上の発熱
- 寝具を取り替えるくらいの寝汗
- 6ヶ月で10%以上の体重減少
- 表在リンパ節の増大
(※ただの風邪の可能性もあります。数日で判断せず、感染症の除外を優先すべきです。感染症の除外を一般の患者と同じように行い、インフルエンザ・COVID-19・細菌感染症の除外から行います。通常の対応でも発熱が継続する場合に御相談ください。) - 血液検査(CBC異常、白血球分画異常、LDH上昇、可溶性IL2Rの経時的上昇)
- T細胞リンパ腫では可溶性IL2Rが上がりやすい
- 画像検査は不要または検査だけ近くの総合病院へ依頼(1回/年)
- <紹介方法>
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- ATL以外は月単位で増悪することが多いため待てる。精査依頼で紹介する場合は地域連携室を通して血液内科外来を予約する。
- ATLでは可溶性IL2R値が特に増加しやすく、2,000以上の場合には。紹介元の血液内科へ早めの連絡を取る。(電話でも良い)
- ATL以外でも週単位で増悪、または全身状態不良の場合にも紹介元のER外来か血液内科へ連絡する。
2. 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
- <評価項目>
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- 診察で診て欲しいポイント(出血傾向の有無、粘膜出血の有無)
- 血液検査(CBC)
- 薬剤性の除外(特に直近3ヶ月以内に始めた薬)
- 上気道炎でも一時的に下がることがあります
- ピロリ菌除菌歴の確認もお願いします。
- <治療>
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- プレドニンは漸減offにできる (血小板数3万以上を目標にする)
- offに出来ない場合にはST合剤・骨粗鬆症予防薬・胃薬を併用を考慮する
- <血液内科への相談が必要なタイミング>
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- 血小板減少が進行する場合(3万未満)
- 出血傾向を認める場合(特に粘膜出血があれば早めに送ってください)
- <紹介方法>
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- 急激な血小板減少、出血の場合は紹介元のERまたは血液内科へ紹介
- 月単位で血小板減少を認める場合は地域連携室を通して血液内科外来予約する
3. 再生不良性貧血
- <評価項目>
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- 診察で診て欲しいポイント(貧血症状、出血傾向、感染兆候)
- 血液検査(CBC、白血球分画)
- <治療> ※併用可
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- ネオーラル(シクロスポリン) 維持量(5mg/kg/日 連日2分割内服 [12時間毎])
- 経過観察(③の輸血ラインに近付くようであれば紹介ください)
- 輸血(Hb 6~7g/dl目標):赤血球輸血2単位/回を2~4週毎
- プリモボラン(蛋白同化ホルモン) 10〜20mg/日 連日2分割内服
- <血液内科への相談が必要なタイミング>
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- 血球減少が進行する(網状赤血球が低値であれば、この先も低下傾向になりやすい)
- 発熱が持続する場合(発熱性好中球減少症疑い)
- <紹介方法>
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- 急激な血球減少、出血の場合は紹介元のERへ紹介。
- 月単位で血小板減少を認める場合、地域連携室を通して血液内科外来を予約する。
4. 骨髄異形成症候群
- <定期評価項目>
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- 診察でのポイント(貧血症状、出血傾向、感染兆候)
- 血液検査(CBC、白血球分画、網状赤血球)
- <治療>
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- 輸血(Hb 6~7g/dl目標に輸血する):赤血球輸血2単位/回を2~4週毎
※RBC 2単位輸血すると50kgのひとではHbが1.5g/dL上がります。 - 経過観察
- 輸血(Hb 6~7g/dl目標に輸血する):赤血球輸血2単位/回を2~4週毎
- <血液内科への相談が必要なタイミング>
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- 血球減少が進行する場合
- 発熱が持続する場合(好中球が500/l未満ではその日のうちに血液内科へ連絡を)
- <紹介方法>
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- 急激な血球減少、出血の場合は紹介元のERへ紹介。
- 月単位で血小板減少を認める場合は地域連携室を通して血液内科外来を予約する。
- 血球分画で芽球の経時的増加がある場合にも地域連携を通して連絡戴ければ骨髄検査を行います。
5. 骨髄増殖性疾患
(1) . 真性多血症
- <定期評価項目>
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- 診察のポイント(血栓症状と出血症状の有無)
- 血液検査(CBC、白血球分画)
- 腹部エコーで肝脾腫の確認
- <治療>
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- 経過観察
- 少量アスピリン
- ハイドレア(ヒドロキシカルバミド) 500〜2000mg/日 1日1回内服
ヘマトクリット(Hct)0.45以下、血小板数 40万未満、WBC数 2000以上に維持
*骨髄抑制、皮膚潰瘍(下腿に起きやすく、皮膚科介入でも難治性)に注意。
*ハイドレアは皮膚がんの発症頻度も上がります
- <血液内科への相談が必要なタイミング>
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- 血球減少が進行する場合
- <紹介方法>
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- 急激な血球減少、出血の場合は紹介元のERへ紹介。
- ゆっくり(月単位で)血小板減少を認める場合は地域連携室を通して血液内科外来を予約する。
(2) . 本態性血小板血症
- <定期評価項目>
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- 診察のポイント(血栓症状と出血症状の有無、心血管イベントの既往と家族歴)
- 血液検査(CBC、白血球分画)
- ABIと頸部血管エコーで動脈硬化の程度を確認
- 腹部エコーで肝脾腫を確認
- 外注でvon Willebrand因子活性を評価していると、ありがたいです。
- <治療>
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- 経過観察
- 少量アスピリン
- ハイドレア(ヒドロキシカルバミド) 500〜2000mg/日 1日1回内服
血小板数 40万未満、WBC数 2000以上に維持
*骨髄抑制、皮膚潰瘍(下腿に起きやすく、皮膚科介入でも難治性)に注意する。
- <血液内科への相談が必要なタイミング>
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- 血球減少が進行する場合
- 特に原因不明の貧血が持続する場合
- <紹介方法>
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- 急激な血球減少、出血の場合は紹介元のERへ紹介。
- 月単位で血小板減少を認める場合は地域連携室を通して血液内科外来を
- アグリリン内服している場合、時にAfが出現することがあります
6. 意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)
- <定期評価項目>
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- 診察のポイント(貧血症状、下腿浮腫、骨痛の出現があれば連絡ください)
- 血液検査(CBC、血清Ca、腎機能、IgG/IgA/IgM、尿蛋白)
- TPとAlbの乖離で気が付くことが多いです。その場合には蛋白分画の提出を
- 免疫グロブリンは1つの項目が高く、他の2つは低値のことが多いです
- 腎機能障害が全面に出る症例もあります
- <治療>
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- 経過観察
*治療は不要だが多発性骨髄腫へ移行することがあるので3~4ヶ月の観察が必要。
*多発性骨髄腫への進展は、上記に記載した項目が重要なサインです。
- 経過観察
- <血液内科への相談が必要なタイミング>
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- IgG、IgA、IgMのいずれかが1つが高値または全て低値
- 蛋白分画でM蛋白の検出
この2つがあれば、地域連携を通して血液内科に紹介ください。
自家移植後の症例、またはCAR-T細胞療法後の症例でも、上記と同じ方針でOK。
7. 造血幹細胞移植またはCAR-T細胞療法後
- 再発に関しては上記の各疾患の診察のポイントの通りです
- GVHDは皮膚・消化管に出やすいです。皮膚はアトピーの様な症状、消化管は食欲不振や嘔気、下痢が出やすいです。対症療法でも生活の質を落とす印象があれば、1ヶ月くらいの判断で早めに移植した施設へ紹介ください。
- 肺GVHDの早期診断のために年に3~4回の胸部単純レントゲン写真をお願いします。可能な施設では呼吸機能検査をお願いします。
- 遅れて出てくる心機能低下をしばしば認めることがあるため、可能な施設では年に1回を目安に心エコーをお願いします。
- 上記の検査で異常が認められれば1ヶ月以内に移植した施設へ紹介をお願いします。
- 口腔内や眼の乾燥症状がでることがあり、対症療法でも良くならなければ1ヶ月くらいの判断で早めに移植した施設へ紹介ください。
- 発熱がある場合には、ただの風邪の可能性もあります。感染症の除外を一般の患者と同じように行い、インフルエンザ・COVID-19・細菌感染症の除外から行います。通常の対応でも発熱が継続する場合に御相談ください。
- CAR-T細胞療法後の症例は血球減少や免疫グロブリンの低値が遷延することがあります。基本的にこれらの合併症が解決した後に地域のクリニックへ逆紹介しますが、好中球数500/L以上、または血清IgG 400mg/dL以上を目標にG-CSFや免疫グロブリン補充を依頼することがある場合があります。
8. HTLV-1キャリア
- 特に症候(皮膚症状・神経症状・リンパ節腫大・全身状態の異常など)が無い限り、基本的には経過観察で良いです。
- 患者の都合が合うときに、(急ぎではない速度で)、近隣の血液内科外来に御紹介ください。
- 家族歴にATLがある場合には悪性化する場合があるので、気持ち早めに御紹介ください。
B. 緊急時対応
急性白血病など当日に血液内科の介入が必要になる症例がある場合;
- 南部地区は南部医療センター・こども医療センター、沖縄赤十字病院、那覇市立病院
- 中部地区は琉球大学病院、中部徳州会、中頭病院
- 北部地区は県立中部病院、中頭病院
- 平日:地域連携室を通して血液内科医(紹介した医師またはコンサルト当番が対応)へ連絡
- 休日:地域別に各病院のERへ紹介
※血液内科不足であり、一両日中にお受けする場合が難しいことがあります。その場合にも血液内科内部で連携し、極力早くお受けできるように準備します。
※近い将来に琉球大学第二内科ホームページに相談用のメールアドレスをアップする予定です。そちらに疑問を送っていただければ、24時間以内に返事をお送りするシステムを構築する予定です。
