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非常勤講師 竹本のぞみ先生 に医学博士の学位が授与されました!

医局関係, 教育関係, 研究関係

益崎裕章教授からの熱心な指導および激励を受け、私は2024年度に博士(医学)学位授与および大学院医学研究科を卒業することができました。益崎教授および教室の皆様の支援に大変感謝いたします。

私は、自分が研修医2年目の時に1型糖尿病を発症したことを機に、糖尿病診療医を目指し、琉球大学大学院医学研究科 代謝内分泌・血液・膠原病内科学講座(第二内科)の門をくぐりました。入局後、諸先輩方からの指導のもと、糖尿病に関わる診療および知識の研鑽を積み、2人の子供にも恵まれながら、無事、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医を取得しました。専門医を取得した数年間は満足していましたが、徐々に自身の専門医取得だけでは今後の糖尿病診療には何も貢献しないという思いが芽生えてきました。菅子の『終身の計は人を樹うるに如くはなし』にあるように、後輩育成という新たな目標ができ指導医取得を志すようになりました。指導医取得のための要件の一つに糖尿病に関わる英語論文の実績があり、大学院での学位授与の要件の一つでもあるため、『一石二鳥』との気持ちで、2018年度に琉球大学大学院医学研究科に社会人学生として進学いたしました。

すでに子供が2人おり、診療を続けながらの学びには時間が必要と思い、入学当初より8年間かけての卒業を予定していました。皆さんもご存じのように、入学の翌年にはCOVID-19のパンデミックが始まり、数年間は思うように研究も育児も進みませんでした。そんな中、第3子の妊娠が判明し、大学院も休学もしました。さらに、2020年度には医局人事で、臨床医から保健所医師(行政医)となりました。すでに子どもが2人いる中で大学院への進学をしましたが、さらに1人増え、コロナ禍で非日常の生活が続く中で、論文作成や大学院卒業も諦めていました。

しかし、大学院1年目の時に、益崎教授から糖尿病には直接関わらないが肥満症や高血圧などの生活習慣病に関わる子供を対象とした研究のテーマを頂き、大学院2年目の2019年度に県内の小学生を対象に研究を行っていました。教室の多くの方々のサポートを受け、2022年European Journal of Pediatrics(欧州小児科学誌)181巻に「Analysis of spot urine biomarkers and association with body weight in Japanese elementary schoolchildren(沖縄県小学生を対象とした早朝スポット尿バイオマーカーと体格指数(BMI)の関連性と食生活の評価)」として論文が掲載されました。

無事に論文が採択され雑誌に掲載されましたが、糖尿病に関連するものではないため、日本糖尿学会認定の糖尿病指導医取得はできません。バランスを取りながら、育児・仕事・学業に専念するなかで、また、専門医という資格の形式が変わっていく中で、徐々に目標が変化していきました。そして、コロナ禍で行政医になり初めの2年間は新型コロナウイルス感染症に関わる業務しか行っていませんでしたが、徐々に健康づくりという公衆衛生にも関わるようになってきました。臨床医の時は、病気になった方々を多く診て、目の前の患者さんの生活を「いかに病気を持っていない人と同じようにするか」を考え診療を行ってきました。今は、如何に病気になるのを防ぐのか(未病対策)や病気になったとしても早期発見早期治療への対策などヘルスリテラシーに関わることに携わっています。まさしく、益崎教授が、大学院1年目に与えてくださったテーマに関連することです。当初予定していた8年間まで時間の余裕はあり、大学院生として新たな研究に挑戦することはできましたが、2022年に発表した論文で学位取得することを決め、2024年度に学位審査に挑み、無事学位授与に至りました。

一昨年の2024年度より沖縄県保健医療介護部八重山保健所の健康推進班の班長をしております。中間管理職は大変と思っていましたが、糖尿病臨床で培ってきたチーム医療と同じで、班員をチームメンバーと考え、同じ目標に向かい、かつメンバー一人一人が成長できる環境がとても楽しいです。形は変われど、『終身の計は人を樹うるに如くはなし』を実践していると思っています。

新たなステージへの挑戦の機会を与えてくださった益崎教授には感謝しかありません。今後の益崎教授のご活躍と教室の発展をお祈り申し上げます。

沖縄県八重山保健所 健康推進班 班長

琉球大学大学院 医学研究科 内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座(第二内科)非常勤講師