代謝内分泌グループの研究

人生100年時代を間近に控え、超超高齢社会に突入した日本における大きな医療問題は、糖尿病、ガン、認知症と考えられる。

我々の教室は、内分泌代謝、血液、膠原病の専門医師が同じ教室内に集った教室であり、総合的内科学や専門分野研究を実践するだけでなく、各グループを縦断するリサーチグループを併せ持ち、肥満症や糖尿病の新しい病態メカニズムを全身臓器連関相互レベルで捉える研究を実施している。

特に脳、脂肪組織、消化管、血管、膵臓、肝臓、骨格筋など臓器間相互ネットワークの破綻と機能異常のしくみに重点を置き、統合生理学、分子栄養学的アプローチによって解明している。

1.食嗜好性の脳内制御の解明

栄養価の高い高脂肪食を好むマウスは、栄養飢餓に陥ると、低エネルギー状態からの速やかな脱却を促すために、炭水化物食を積極的に摂取する。このような食嗜好性の変化は本能を司る視床下部レベルで制御されていることを見出した(Cell Reports 2018)。
生存に必須の食嗜好性中枢に着目し、生体の様々な栄養状態、病態モデル、精神疾患モデルなどを用いて解析を進めている。

炭水化物嗜好性亢進ニューロンの活性化構造の解明

2.腸内フローラに着目した機能性食品の効能とメカニズム解析

腸内細菌叢の多様性や生体への影響を指標に様々な機能性食品の有効性を検討し、科学的エビデンスの獲得を進めている。 マウスを用いた動物実験による検証と並行して人介入試験による肥満種改善効果への効能を検討する。

3.玄米由来有効成分 γ-オリザノールによる新たな有効性の解析

これまでに玄米由来有効成分 γ-オリザノールが報酬系経路 線条体におけるドパミン受容体のエピジェエティック制御を介して高脂肪食嗜好性を軽減することを見出した(Diabetologia 2017)。γ-オリザノールの新たな有効性を示すため各種依存症モデルマウス(アルコール依存、ニコチン依存など)や、認知症モデルマウスを用いて、γ-オリザノール投与による行動学的解析とターゲット分子の同定を進めている。

多彩な作用点と分子機構を併せ持つ玄米機能成分:γ-オリザノール

多彩な作用点と分子機構が明らかになった玄米機能成分:γ-オリザノール

玄米成分:γ-オリザノールを高含有する新規の発酵飲料の開発と臨床介入試験の実施